最近話題の技術について随時紹介していきます。
No1:大学講義とノーベル賞
「学生の知的好奇心を如何に起こすか」
既に昨年度の話になってしまいましたが,今もまだ科学技術の話題の中心になっておられるのが
小柴先生と田中主任(現フェロー)さんのノーベル賞のダブル受賞。
私の大学の講義が電気工学科2年生対象の「電気計測」であるので、受賞内容と少なからず関係
がありました。早速、カミオカンデのHPで勉強し、次の講義で画像プロジェクターを使用しながら解説
講義しました。ニュートリノ検出センサの浜松ホトニクスは私の母校のある浜松市の地元企業でもあり、
設立者をはじめとして、大学の先輩や後輩も非常にたくさん就職されていて非常に身近な企業でもあ
りましたのでなおさら講義に熱が入りました。
講義は水曜日にあり、ニュートリノ検出法などの解説講義を終え、自宅に戻る車中のラジオで田中さん
のノーベル賞受賞を聞き、再び驚きました。島津製作所さんとは過去に共同研究をしたこともあり、今回
もまた非常に身近な企業でもありました。さらに田中さんの受賞内容も”たんぱく質の質量分析” という
ことで計測そのものでもありましたので、早速幾つかのHPを開いて勉強し、翌週の講義のトピックスとし
て付け加えました。
両方の講義ともに学生に予告はしていなかったので普段と同じ90%近くの出席者(120人位)でした。
居眠りをしている学生は普段よりは少ないものの、最初から寝ている学生も相変わらず。しかし話を聞い
ている学生は真剣に聞いていてくれました。
私は15回の講義の中間くらいと最後に、講義内容の理解度や関心の程度を知るためにアンケートを取り、
自分の講義の改善に繋げています。今年1月末のアンケートで、関心の強かった講義内容はどんな内容か
を聞いたところ、最も多かったのがノーベル賞のタイムリーな解説でした。勿論、通常の講義が基礎的な内
容であり、それほど関心を持てないことが最大の要因であるとは思います。しかし 新聞やTVで報道されて
いてもなかなか十分理解できない話が、プロジェクターでいろんな映像とともに解説をしたので非常に身近
に感じられたようでした。
大学生のレベル低下や授業崩壊に近い状況も身近に感じながらも、半数以上の学生には最新技術の重
要な話題や将来の有望な技術に関する知的好奇心は芽生えているのかなーと感じ、今年もまたこういう
先端技術での話題が数多く出て、学生の知的好奇心の喚起に役立てられればと期待しているところです。
記:屋野勉